オレの検索NGワード

本当にコアな情報を見つけたり、真偽を判断するのは難しいけれど、大抵のことなら、すぐに検索できるのがインターネットのいいところ。だいたいは、これで用が足りてしまう。

でも、オレにはインターネットでの検索を敢えてNGにしている単語が2つある。

ひとつは”イブラヒモビッチ”。サッカー選手の名前だということしか知らない。

雑誌を読んでいた時、たまたま誰かが”イブラヒモビッチ”という単語を発していて、その奇妙な語感が今でも記憶に刻まれているのだ。

プロスポーツ全般には全く興味がないし、テレビも見ないから、オレにとっての”イブラヒモビッチ”は謎のサッカー選手である。でも想像はできる。

名前に”ビッチ”とつくのだからロシア系の選手に違いない。ロシア人の名前は、スケベスキーやスケベビッチなどのように語尾に”~スキー”や”~ビッチ”がつくことになっている。

ロシア人というからには巨漢だろう。ウォッカばかり飲んでいるから当然だ。ヌルヌルした感じの名前だから、頭髪はなくテカテカしている。寒い地方だから口ひげを生やしてもいるはずだ。弁慶のような筋肉を持ち、眼光も鋭い獰猛なロシアの酋長”イブラヒモビッチ”。

オレの中ではこんな具合に”イブラヒモビッチ”のイメージが固まっているので、検索することでイメージを壊されたくない。オレの心に住んでいるロシアの酋長”イブラヒモビッチ”の雄姿を大切にしたいからだ。

もうひとつの単語は、”ポコニョーリ”。こちらもサッカー選手の名前である。

いつだったかネットニュースを見ていたら、ヘッドラインに”ポコニョーリ、中国の選手に股間を蹴られて退場”とあるのが目に止まった。

ポコチン蹴られたポコニョーリ”という出来過ぎた事件故に、これまた記憶に残る名前となった。

ポコニョーリ選手も自分には謎である。しかしながら股間を蹴られたのだから、その瞬間はヒョットコのような顔になったはずだ。そしてあまりの痛さ故にその表情で固定されてしまった可能性が高い。しかも、股間は腫れて膨れ上がっている。

ポコニョーリという名前からして、出身はイタリアだろう。ヒョットコの顔をしたイタリアのサッカー選手、ポコニョーリ。開き直って、ヒョットコらしく頬っかむりもしている。サッカーグランドを走り回るイタリアン・ヒョットコのポコニョーリ。二度と股間を蹴られないように走る姿勢は内股だ。

実は自分が知っているプロサッカー選手の名前は、この二人だけである。

だから、もし誰かに「カネに糸目をつけなくていい。世界最強のサッカーチームを作れ」と言われたとしても、”イブラヒモビッチ”と”ポコニョーリ”の二人にしか声をかけられない。まさかの二人サッカーチーム。正直、強いかどうかもよくわからない。情報ないから。

でも、”イブラヒモビッチ”と”ポコニョーリ”ならきっとやってくれるだろう。攻めのイブラヒモビッチと守りのポコニョーリ、11人対2人というハンデをものともせず世界の強豪チームに立ち向かう二人だけのドリームチーム。

だけど、彼らがドリームチームを結成してくれたとしても、きっとオレには誰だかわからない。だって、どーせ想像してる姿とは違う感じに決まってるもの。

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