※夜中に目が覚めた子供が、寝ぼけマナコでトイレのドアを開けると…
子「わっ、なんでトイレにサンタが！」
サ「いやいやいや、まぁまぁ」
子「ちょっと！！ オシッコした手で頭を触らないでよ！」
サ「そんなこと言われたって、サンタだってオシッコするし、恋だってするよ！ 頭を触ったっていいじゃないか」
子「まず手を洗って！」
サ「神経質な子供だな。もっと大らかになりなよ。プレゼントを持ってきたんだから」
子「本物のサンタさん？！ やったー！ どうぞ、こちらへ」
サ「うん。今日はね、きみが喜ぶプレゼントを3つも持ってきたんだよ」
子「えっ？！ 3つも！ さぁさぁ、どうぞ。こちらの椅子にお掛けください」
サ「よいしょっと。じゃあ、まずひとつめね。（袋に手を入れて）さーて、何が出てくるかなぁ〜。はい。出ました！ じゃーん、“サトウのごはん“！」
子「えっ…」
サ「（袋に手を入れて）二つ目は、なにかなぁ。はい、出ました！ 玉子！ 二つもあるよ〜」
子「…」
サ「（袋に手を入れて）そして最後は、じゃ〜ん！ ケチャッ〜プ！」
子「あのさ。ちょっとなんなの？」
サ「何って、きみが大好きなオムライスの材料だよ」
子「…ちょっといい？ クリスマスプレゼントって、こういうんじゃないよね？ 戦時中かと思ったよ」
サ「だって、オムライス好きでしょ？」
子「好きだけどさ。プレゼントとしては違うよね。もっと即物的なモノっていうか。子供を喜ばすのはまずオモチャだよ。それか、スケートボードみたいなスポーツ用品。そういうのはないの？」
サ「うーん。あっ、野球のグローブならあるけど。（袋に手を入れて）じゃじゃーん、メリークリスマス！」
子「…これ、軍手だろが！」
サ「”万能グローブ”とも言いますよ」
子「言わないよ！ ちょっとそこ座ってくれる？」
サ「座ってますけど」
子「そうじゃなくて、床に正座！」
サ「はい」
子「おじさん、ほんとにサンタクロースなの？」
サ「そうだよ。前任者が急に辞めちゃったとかで。で、サンタがいないとクリスマスが盛り上がらないから、お前やれって言われて。やらなきゃ地獄行きだよって、こんな格好にされて」
子「それって誰に言われたの？」
サ「イバラの冠を被った、こういう髭のヒト（十字架ポーズ）。オレ、泥棒しかしたことないのに」
子「えっ、元泥棒なの？ あっ、煙突がなくても家に忍びこめるからか」
サ「いや、オレはカギを閉め忘れた家が専門だったよ。で、サンタの初仕事がココだったわけ」
子「えっ！ うち、戸締りしてなかったの？！ それにしてもプレゼントのセンスがなさすぎだよ。このあと、どうするつもりなの？」
サ「うーん。とりあえず、なんか金目のモノを持って帰ります。それを売って、プレゼント買って、また配って、金目のモノを盗んでを繰り返そうかと」
子「モヤモヤするよ！ サンタか泥棒かハッキリしてよ！」
サ「うーん、強いて言うなら…、“手癖の悪いサンタ“かな」
子「それ、ふつうに泥棒だから」
