それにしても近夏は暑い。そんなわけで、少し涼しくなるように冬の思い出話を。
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ある冬の夕暮れ時、鎌倉駅近くの駐車場に車を停めて、オレはN嬢と八幡宮に向かってのんびりと歩いていた。
昼間は温かだったのに、陽が沈むとやっぱり寒い。オレは額にポツリと水滴があたるのを感じた。
「あれっ？ 雨？」
何気なく袖口をみると、そこには雪の結晶がついている。初雪だ。オレは彼女に話かけた。
「ねぇ、これ見てごらん！ ほら雪だよ、雪！」
それを見た彼女は、そっと袖口の雪を指で押さえた。途端に彼女の表情が曇る。
「ちょっと！ なんで溶けないわけ？ これ、さっきクルマで食べてた”えびせん”のカスじゃん！」
オレのロマンチックは、一瞬にして溶けていった。
