エポック社が1971年に発売した「パーフェクトボウリング」は、小学生だった当時、かなり憧れていたゲームである。
＊
オレが小学生の頃にはボウリングブームってのがあって、日曜にはTVで30分のボウリング番組をやっていた。
近所にあった大船松竹撮影所の一角にもボウリング場がオープンして、子供ながらに盛り上がりを感じたものである。まぁ、このボウリング場は、ブーム後にはヨーカドーになるんだけどね。
とはいえ近所にボウリング場ができても、小学生だったから親に連れられて1～２回ぐらいしか行ったことはない。
むしろオレが興味をもっていたのはホンモノのボリングよりも、テレビでコマーシャルが流れていたエポック社の「パーフェクトボウリング」の方だった。
電子ゲームなんて影も形もなかった時代のこと、「パーフェクトボウリング」は全長80センチに及ぶアナログの巨大なボウリングゲームなのである。
これね、何に憧れたってボウリングのピンがせり上がってくるんだよ！
本物のボウリングのピンセッターマシンは10本のピンが上から自動で降りてくるけど、このゲームはまず盤上の穴にピンをさして、青い透明なカバーを手前に起こすと連動してピンが床上に上がってくる。これがとてつもなくリアリティが感じられて恰好よかった。
たださ、定価が2,650円という当時のゲームとしては高価な値段だったから、親に買ってもらえるわけがない。
しょうがないから1,200円という廉価版の「パーフェクトボウリング ジュニア」を買ってもらった。でもねぇ、全長60センチと本家よりも20センチ短いし、憧れだったピンセッターは穴の開いた型にピンをはめて、型を上げるだけなんだよね。
それはそれで買ってもらって嬉しかったけど、一番の憧れポイントだった”せり上がり式ピンセッタ―”がついてないから、気持ちの盛り上がりには欠けたね。
でもって、オレが遂に憧れの「パーフェクトボウリング」の未使用品を手に入れたのは、それから約40年後の2009年3月のこと。
箱開けると時間の流れを感じさせない美しい状態のゲームが入っていた。ちゃんとスコアシートもついている。
そして憧れの”せり上がり式ピンセッタ―”はやっぱり素晴らしかった。実際のところ感動したもの。
そして、やっぱり息子も気に入って、このゲームは息子と一緒によく遊んだものだ。
たぶん自分が子供の頃に買ってもらっていたとしても、この時期の方がきっとたくさん遊んだに違いない。当時は家に遊び相手はいなかったけれど、この時は息子という最高の遊び相手がいたから。
by 静 炉巌
