『葛楽堂』と描かれた木製看板の奥に、古玩具だのワケのわからん品だのが所狭しと並んだショーケースが置かれている。そのショーケースを覗き込んで、いろんなモノたちを眺めながら、店主の桃源さんとときどき雑談を交わしている。
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葛楽堂店主の椅子の後ろの本棚に様々な本が並んでいる。
「桃源さん。あの本の文字ってドイツ語？」
「うむ。1998年に発売されたドイツの書籍『Schuco』だ。タイトルのとおり、Schuco社の歴史についての本だ」
「Schucoってミニカーの会社だっけ？」
「現在は買収されてミニカーのブランドになってしまったが、もとはといえばテディベアやゼンマイのブリキ玩具や自動車模型などを製造していた歴史ある会社だ。芸術的な素晴らしいブリキ玩具を生み出していた」
「へぇ」
「この本には、1912年にシュライヤー玩具社 (Spielzeugfirma Schreyer & Co ) として創業されたSchucoが、1976年に売却されるまでに製造した主だった玩具が448頁というボリュームに収められているのだ」
「でもドイツ語だからなぁ」
「図柄だけでも十分に楽しめるが、スマホのGoogle翻訳を使えばカメラで自動翻訳してくれるだろが！」
「そりゃまぁ、そうだよね。Schuco社に関する日本語の書籍はないの？」
「2013年2月にTOY GARAGE が発行した『シュコー物語 驚きに満ちた100年』という書籍がある。2012年にドイツで出版された『Die Schuco-Saga』を翻訳したものだが、176頁で6,000円という価格だ」
「ひえー！ 売れたのかな？」
「いや、限定500部の出版だが、2021年2月2日現在でも在庫が435冊だ。8年間で65冊しか売れなかった計算になる。中身の情報も薄いし、価格と情報と価値が釣り合ってないな。できれば先の『Schuco』を翻訳出版してほしいところだ」
遊人[2021/2/2]
