『葛楽堂』と描かれた木製看板の奥に、古玩具だのワケのわからん品だのが所狭しと並んだショーケースが置かれている。そんなモノたちを眺めながら、時折、時間潰しに店主の桃源さんと雑談を交わしている。
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葛楽堂の机の上に、黄色いトラックが飾ってある。
「桃源さん、ピクサーの”リメンバー・ミー”観た？」
「おぉ、あれはよかったな。テーマ、ストーリー、デザインとこれまでのピクサーの最高傑作じゃないか」
「だよね！ あらためて普遍的なテーマは強いなと思ったよ。ところでさ、ピクサー映画のお約束で必ず登場するPizza Planet Truckなんだけど、今回はかなりわかりやすい登場だったね」
「”レミーのおいしいレストラン”のときは、あまりにわかりにくくて、唯一登場していない映画なんじゃないかとまで言われたもんな」
「あのPizza Planet Truckの玩具なんてあるの？」
「もちろんだ。それに以前ならともかく、2018年の今はマテルのカーズシリーズやレゴなどいくつも手に入るだろ」
「カーズシリーズって、顔のついたトラック？」
「そうだ。映画にも出てただろ？ ちなみにカーズにでてくるPizza Planet Truckには、トッド（Tod）という名前がある。設定では”ピザプラネットブランドのエアフィルターをカリフォルニア中の車に届ける、献身的なピザプラネットの配達トラックの一人”となっているぞ」
「ピザじゃなくてエアフィルターなんだ。そんな設定があるなんて、面白いね」
「うむ。もっともモデルとしていまのところ一番デキがいいのは、D23エキスポの会場で販売されたPizza Planet Truckだがな」
「D23ってなに？」
「2009年に創設されたディズニーの公式ファンクラブの名称だ。D23の”D”はディズニーの頭文字、”23” はディズニー・スタジオ創業年1923年にちなんでいる。D23では毎年、ファンに向けてディズニーの映画、音楽、テーマパークなどの関連部門が集まり、 新作映画の紹介やセミナー、コレクタブルショー、エキスポ記念商品販売などを盛大にプロモーションするイベントが開かれているのだ」
「へー」
「2015年8月にアナハイムで開催されたD23EXPOでは、会場限定300台のレジン製Pizza Planet Truck（PIXAR “TOY STORY” “PIZZA PLANET TRUCK” ）が販売された。これが一番だな」
「レジン製？」
「レジンとは合成樹脂のこと。レジンキャストといって、合成樹脂を使う鋳造法のことだな」
「結構、大きいね」
「全長約24cm。レジン製だからタイヤは可動しないが、映画そのままにサイドシートにはバズが、荷台はウッディがいる。荷台にはピザプラネットの紙コップが転がっているという芸の細かさだ」
「ホントだ」
「LR44電池3個を使ったライトアップ機能も内蔵されていて、カートップサイン、左ヘッドライト、テールライト、荷台が点灯するようになっている」
「雰囲気があるねぇ」
「いいだろう？ 現地での定価は約150ドルだった。どうだ、安くしておくから買っていったら？」
「いや、やっぱり映画と同じくチラ見がいいから、お店に見に来ます」
私は肩をすくめると葛楽堂を後にした。
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【2021/6/6追記】
2019年にはHot Wheelsに” TOY STORY PIZZA PLANET TRUCK”が加わり、2020年にはTOY STORY 25周年記念として、Hallmarkからクリスマスオーナメントが発売された。どちらも良い出来である。
by 遊人(2018/8/27)
