もう一度観てみたい幻の映画があるんだよね。タイトルさえもわからない1本。
その映画を観たのはラグビー部に在籍していた高校一年の時だった。
部活後の帰りには、仲間たちと小さな雑貨屋に寄り道をして、パンやオデンを食べていた。まだコンビニなんてなかった頃だ。
土曜の練習を終えたその日も、やっぱり店に寄った僕らはパンを買い、親切なおばさんの好意に甘えて、店の奥の座敷に上がりこんでテレビを見ながら食事をしていた。
その時、テレビで流れていた洋画が面白くて、皆が釘付けになった。うろ覚えだけれど、こんな筋書きだったと思う。
アメリカの田舎が舞台だと思うのだけれど、怠け者の男がいる。彼は怠けるためには労を厭わないところがあって、ベッドを片付けるのがイヤなもんだから、自動でベッドが片付く装置を作ったりしている。
周囲からバカにされているけれど、やがて心やさしき女性と付きあうようになる。しかし、結婚が決まった途端に、その女性はどんどん我がままになっていき、男を支配したがるようになる。
結婚式の日になり、式場で神父の前に立つ二人。神父が男に「汝はこの女性を妻としますか？」と問いかける。
男は、しばらく躊躇した後に「いいえ！」と叫んで、教会から逃げ出して畑を走っていくのだ。
男が「いいえ」と応えたとき、観ていた僕らは歓声をあげた。
一体、何という映画だったんだろう？
思いつく限りの単語を組み合わせて、ネットで検索してみても未だにわからない。
