冬になると熱いスープがとてもおいしいですよね。でも、猫舌だから飲めないんです。 私は16歳になる老猫（メス）です。人間で言えば齢80歳ぐらいでしょうか？ 諸事情により名前を明かすのはご勘弁ください。 私は静寂を好んでいます。老いた私の毎日は、キャットフードと煮干しといった質素な食事と近所の散歩、そして陽射しを浴びながら窓際でのんびりと眠る…そんなことの繰り返し…。 でも、それはとても平和で幸せな毎日でした。そう、アイツが来るまでは…。 |
朝から洗面所の方が何やら騒がしいです。
のぞきにいってみるとバスタオルに巻かれたチロが、お婆さんに抱かれてでてきました。チロはぶるぶると震えています。
どうやらひとりで風呂桶を覗き込んでいたら中に落っこちてしまい、助け出されるまでの間、ずっと風呂桶の中で泳いでいたようです。
あぁ、私が早く気がついていれば…
そしたらフタを閉めて上に乗ってたのに！
そうそう、今日は久しぶりに嬉しいことがあったんです。
チロが私のトイレばかりを使うので、お婆さんにずっと訴えていたら、新しく私専用のトイレを用意してくれたのです。わーい！
私は、ご機嫌な気分で歌いながらトイレに行きました。
「わったっしのー ピカピカといれっとー♪」
トイレに入ると…
さっそくチロがしゃがんでいました。
私はお婆さんに訴えました！
「にゃーにゃー！！！（チロがまた私のトイレを使ったー！）」
お婆さんは、チロを叱ってくれました。
でも、チロはその後も自分用と私用の２つのトイレを好き勝手に使うのです。なんでチロには２つもトイレがあって、私にはないのよー！！！
私は、再びお婆さんに訴えました！
「にゃーにゃー！！！（チロが２つもトイレを使ってるー！）」
お婆さんは、やさしく私を抱いて慰めてくれました。お婆さんは私のことをよくわかってくれているのです。
「よしよし、そんなに鳴いて。じゃあ、チロちゃんがあなたのトイレを使えないようにしておきましょうね」
お婆さんは、チロが私のトイレを使えないようにフタをつけてくれました。
…私も使えません。
