『葛楽堂』と描かれた木製看板の奥に、古玩具だのワケのわからん品だのが所狭しと並んだショーケースが置かれている。そのショーケースを覗き込んで、いろんなモノたちを眺めながら、店主の桃源さんとときどき雑談を交わしている。
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葛楽堂のショーケースに、どこかで見たようなロボットが飾られている。
「桃源さん! これって映画『禁断の惑星』(Forbidden Planet)に出てたよね」
「うむ。1956年の映画な。これは2006年10月にX-PLUSが発売した”ROBBY’S ALTAIR-4 TRANSPORTER”だ。定価が16,590円だったな。売れたのかどうかわからんが、安売りもしてたぞ」
「『禁断の惑星』といえば、ロビー・ロボットだけど、このトランスポーターも面白いデザインだよね」
「なかなか見ないデザインだよな。このトランスポーターは、1960年代にTVドラマ”The Twilight Zone“のエピソード”砂の上の宝”(The Rip Van Winkle Caperse)にも流用されているぞ」
「”The Twilight Zone“って、ロビー・ロボットを流用した回もあったよね」
「あぁ、”憎悪の家”(UNCLE SIMON)な。他にも”幻の宇宙船”(Death Ship)では円盤型宇宙船が流用されている」
「面白いね。ところで、このトランスポーターのモデルってあまり見ないよね」
「1950年代は野村トイが”MECHANIZED ROBOT ROBBY SPACE PATROL”というブリキ玩具を作っていたけどな。この玩具は、1993年にMIKES TOY HOUSEが500個限定で復刻版を出していた」
「へぇ。復刻版まであったんだ」
「うむ。もっともロビー・ロボットに比べれば、トランスポーターの知名度は低いからな。マニアでなければ欲しがらないだろ」
葛楽堂の店主は、そう言うとテーブルの珈琲に手を伸ばした。