『葛楽堂』と描かれた木製看板の奥に、古玩具だのワケのわからん品だのが所狭しと並んだショーケースが置かれている。そのショーケースを覗き込んで、いろんなモノたちを眺めながら、店主の桃源さんとときどき雑談を交わしている。
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葛楽堂に隣接するカフェエリアで珈琲を飲んでいたら、葛楽堂の店主がやってきた。
「何を持ってるんだ？」
「桃源さん！ 実家から持ってきたノーチラス号だよ」
「2001年12月にX-PLUSから発売されたノーチラス号か。1954年のディズニー映画『海底2万マイル』に登場する潜水艦な」
「もともとノーチラス号にはそんなに興味はなかったんだよね。でもフロリダのディズニーワールドに遊びに行ったときに”ノーチラス号”の撮影モデルの展示を観たことがあってさ。それがすごくカッコよかったんだよね」
「レトロフューチャーなデザインが痺れるな」
「うん。で、今でこそノーチラス号のモデルも色々とでているけど、当時は手頃なものがなくてさ。ようやく発売されたこのノーチラス号を買ったんだよね」
「 2001年9月にディズニーシーがオープンしたからな。ジュール・ヴェルヌ の世界観をもった”メディテレーニアンハーバー”にはノーチラス号が配置された。それを機に商品化されたんだろ」
「そういえばディズニーシーの開園1周年を記念して、ダイキャスト製のノーチラス号が限定販売されたことがあるんだよね。でも当時は高くて買えなかった」
「なるほどな。ノーチラス号の力強いデザインは、1956年の映画『禁断の惑星』に登場するロビー・ロボットにも通じるものがあるな」
「それわかる。『海底2万マイル』も『禁断の惑星』も映画は古臭いけど、主役メカのノートラス号とロビーは古くないもんね」
「1954年にデザインされたノーチラス号が、65年後の2020年においても、ディズニー・シーという人気のエンタテイメント施設で主役を張ってるのは凄いことだよな」
「そうだよね」
「おまえは会社に居場所もなさそうなのにな」
「そんなことないよ！」
私はため息をつくと、珈琲を飲みほした。
