黄昏の職場日記:必殺!料理人の巻

syokuba1

[登場人物]

子分1号
中途入社だった私と入社年度がさほど変わらないからと、タメ口どころかときどき上から目線になる女性部下。

子分2号
妙な感性と仕事ぶりは評価できるが、かなりお調子者。子分1号の後輩となる女性部下。

本日の子分2号は、せっせと請求書処理を行っていた。ときどき偉そうな口調で、私に確認をとってくる。私は子分2号に話かけた。

静:「あのさ、孫悟空が頭にしてる輪みたいのって売ってないかな?」

子2:「そんなのどうすんのよ?」

静:「生意気な部下に使うんだよ。生意気な口をきいたらギューっとしめつけんの。ついでに電気ショックみたいなのもないかな」

子2:「どうなるのよ?」

静:「黒コゲ

子2:「死んじゃうじゃん!」

静:「じゃあ、シンプルに叩く方がいい?」

子2:「そしたら刺すよ

静:「だったら焼くよ

子2:「煮るよ

静:「ちぎるよ

子2:「炒めるよ

静:「揚げるよ!

子2:「すりおろすよ!

静:「えっ!? すりおろさないでよ!」

子2:「勝ち! ところで、このアプリケーションの保守契約の請求書なんだけど。これって先月払ってるのにまた来てるよ」

静:「本当? ひとつはバージョンアップとかじゃないの?」

子2:「保守契約だって! 支払データベースで見たもん。本当だよ。電話してよー」

静:「偉い! よく気がついた! あやうく二重に支払うとこだった。こういうのって見つけた人に半額プレゼントして欲しいよな。よーし、じゃあ、今から強気な電話で確認してやるぜ」

カチャカチャ(さっそく電話)

ベンダー:「はい、〇〇〇です」

静:「今月、お送りいただいた保守契約の請求書のことですけどね、先月に既に支払済だと思うんですが、この2回目っていうのは何なんでしょうか?」

ベンダー:「あっ、申し訳ありません。ただいまお調べしますので少々お待ちください」

電話保留中…

静:「(子分2号に)ビビってるよ!」(ガッツポーズ!)

ベンダー:「お待たせ致しました。お調べしたところ…」

静:「…えっ!! はい、あの、どうもすみませんでした」

受話器を置く。

静:「子分2号。ちょっと、そのデータベースを開きなさい」

子2:「なんで? こっちが間違いだっていうの?! ほら、ちゃんと9月に支払済じゃん!!」

静:「日付は?」

子2:「〇〇年9月19日! …うぇ?! 去年じゃん!

静:「…ねぇ、談話室に電子レンジがあるの知ってる?

子2:「えっ? 知ってるけど」

静:「チンされといで!!

このあと別件逮捕のごとく、私の机の乱雑さを指摘する子分2号であったが、既に勝利の美酒の酔いがまわっている私には、何も聞こえないのであった。

by 静 炉巌(98/11)

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