解散してから22年を経たピンク・レディーが再結成して、２年間で100本の全国ツアーを行った。
ツアーの内容は時期ごとに３バージョンのプログラムが用意され、それぞれに盛り上がったけれど、今回、僕が出かけた2005年5月27日のライブはその締めくくりとなる再結成ツァーの最終日である。
僕は特に彼女達のファンではなかったけれど、ピンク・レディーが全盛だった当時、クラスの女子達が掃除の時間に狂ったようにを踊っていたのを目撃した世代だから、３月に横浜でライブがあった際に出かけてみたんだよね。
そしたら、その圧倒的な存在感と老若男女が踊りまくる会場の熱気にびっくり。
この人たちは本物だ！と感動しました。ありゃー、47歳のステージじゃないよ。現役時代はＴＶでしか知らないけど当時よりスゴイんだもん。
さて、ファンの間ではとっくに言われてることかもしれないけど、ピンク・レディーの当初は山本リンダのコンセプトの進化系だったと思う。
山本リンダといえば、デビュー依頼の『こまっちゃうナ』に代表される純情路線が低迷した後、昭和47年に突如、南国情熱系にイメージチェンジして『どうにもとまらない』，『狂わせたいの』，『じんじんさせて』，『狙いうち』と大ヒットを連発。
このイメージ・チェンジ後の楽曲を担当したのが、後にピンク・レディーを担当するRock Ageの都倉俊一氏と阿久悠氏なんだけど、コンセプト自体が似てる似てないではなくて、聞き手に強烈な印象を与える楽曲（＋振り付け）によって歌手に特定のイメージを被せる…要はキャラクターをプロデュースする手法に似ているものを感じるんだよね。
時期的にみても山本リンダのイメージチェンジに成功した都倉＆阿久のコンビは、今度はその手法を新人で試そうとしたんじゃないかと思う。
ただピンク・レディーの場合は”若者向けのお色気作戦”でスタートしたのに、制作側の意図に反して子供にウケるという現象が起こったために起動修正をかけ、結果として彼女達は”ピンク・レディー”というジャンルとさえ言えるほどオンリーワンの存在になっていったのだと思う。
”ピンク・レディー”は表現者と制作者が一体となった総合芸術だった。
さて、ライブ前のお勉強として今回ピンク・レディーについて調べて知ったのは、現役時代の彼女達のピークには２つの面があったということだった。
ひとつはもちろんよく知られている国内ナンバーワン・ヒットのつるべ打ち時代。そしてもうひとつは、当時マスコミに手のひらを返したようにバッシングされ、国内チャート的にも低迷したアメリカ進出時代だ。
ピンク・レディーのアメリカ進出については今でも失敗と見なされることが多いけれど、その認識は誤っていると思う。
”成功”の基準にもよるけど、アメリカで金曜のゴールデンタイムに自分の冠番組(『Pink Lady Show』)を持つことなど、それまでの日本人には成し得なかったことで、そのことは番組の内容自体の評価とは別に評価されるべきだ。
さらにアメリカ進出曲として1979年に発売した『KISS IN THE DARK』(詩曲:Michael Lloyd)は、米ビルボードで総合３７位。
日本の歌手でビルポードのジャンルではなく総合４０位以内に入った歌手は坂本九ぐらいしかいないし、当時、アメリカで大成功と報道されたYMOよりも実質的には勝っていたと言ってもよい。
さて、この日のライブではピンク・レディーは最初からアンコールなどなしで全力で歌うことを宣言。
その言葉通りに４時間近い盛りだくさんのライブで、再結成ツァーとしてではなく、現役時代も含めたピンク・レディーとしてのフィナーレを強く意識した構成になっていた。
とても素晴らしいライブで、僕はやっぱりピンク・ディーはすごいアーティストだということをあらためて認識させられた楽しい時間を過ごした。
＊
セットリスト
◆第一部
乾杯お嬢さん
レディーＸ
Ｓ・Ｏ・Ｓ
ピンクの林檎
パイプの怪人
モンスター
パパイヤ軍団
逃げろお嬢さん
星から来た二人
UFO
I Want to Give My Everything
～Strangers When We Kiss
～Kiss In The Dark
ウォンテッド
愛・GIRI GIRI
カルメン’７７
透明人間
カメレオン・アーミー
◆第二部
ポプラの季節
花ふぶき
想い出は涙とともに
風の色は何色
６月の子守唄
部屋を出てください
うたかた
リメンバー
Dancing in the Halls of Love
～Love Countdown
～マンデー・モナリザ・クラブ
世界英雄史
DO YOUR BEST
ジパング
サウスポー
渚のシンドバッド
波乗りパイレーツ
ピンク・タイフーン
ペッパー警部
OH！
遊人（2005/05/28）
