高校生の頃に初めてテレビで『七人の侍』を観て、その世界に惹き込まれた。
そして、その興奮のままにレコードショップに足を運んで買ったのが、東宝レコードが発売していた『七人の侍』のシングル盤だった。
東宝レコードは1970年から1980年の10年だけ存在した会社で、主として東宝製作・配給映画の主題歌やサウンドトラックを発売していた。
『七人の侍』の歌は映画の音源ではない。
早坂文雄が作曲したテーマ曲に黒沢明が歌詞をつけたもので、初出は昭和29年に山口淑子がリリースしたレコード。これは彼女の最後のレコード吹き込みだという。
一番の歌詞は以下のものだけど、”テフリョウフリョウ”あたりはなんのことだかさっぱりわからない。
旗のように 侍は
嵐の中に 翻る
テフリョウフリョウ
ヒョウフリョウ
ヒヤルロアラヨヒョウフリョウ
苦しい時も さわやかに
悲しい時も うつくしく
名のみを惜しむ 我なれど
あわれは誰も 変わりなし
東宝レコード版で歌っているのは、”ジ・オールドタイム・フォークシンガーズ”。おそらくセッション用のバンドだろう。歌詞からは例の”テフリョウフリョウ”部分が省かれている。
で、この”ジ・オールドタイム・フォークシンガーズ”の歌が凄くいいわけ。男性コーラスが雄々しくて清々しい。
20年ぶりにこのレコードを聴きたくなって、レコードプレイヤーを買った。USBメモリにデータを落とせるタイプのものだ。
ジャケットを手に取って、内袋からレコードを取り出す。ターンテーブルにそっとのせる。
盤サイズと回転数を確認して、レコードアームをレコードに落とす。クルクルとターンテーブルで回るレコード…。
通信みたいにワンクリックで聴くことなんてできない面倒さ。こういう文化もたまにはいい。
「七人の侍」の歌はやっぱり素晴らしい。
