黄昏の職場日記:子分2号と願いごとの巻

syokuba1

[登場人物]

子分1号
中途入社だった私と入社年度がさほど変わらないからと、タメ口どころかときどき上から目線になる女性部下。

子分2号
妙な感性と仕事ぶりは評価できるが、かなりお調子者。子分1号の後輩となる女性部下。

このところ子分2号は、結婚を一ヶ月後に控えて機嫌がいい。

静:「ところで新婚旅行は、どこにいくの?」

子2:「イタリアだよ。」

静:「あっ! イタリアだったらさ、オレの友達にイタリア人にそっくりなヤツがいるから紹介してあげるよ。メール書いてみたら」

子2:「イタリアの人なの?」

静:「違うよ、大阪人! でもさ、なんかの情報は握ってると思うよ。」

子2:「…それって何か根拠あるの?」

静:「だからイタリア人に似てるんだって! 似てるってことは、しょっちゅうイタリア人に間違われるわけでしょ? そのうちバレないようにだんだんイタリア人のフリがうまくなってくるよ

子2:「それってモノマネでしょ!

静:「贋作レベルに達している。イタリア人と双子のレベルだよ!」

子2:「誰と双子なのよ! どうして、そうテキトーなの?」

静:「でも、”ヒョウタンからコマ”っていう諺もあるからね。こういう話がホントになるかも。まだ諦めるのは…」

子2:「いいから! それより、そこのホチキスとってくださいよ」

静:「(重々しく)それがひとつめの願いだな?

子2:「へっ?」

静:「かなえよう…。はいよ(ホチキスを渡す)」

子2:「えっ、やだよー、そんな願い!」

静:「それが2つめの願いだな! …かなえよう。ホチキスかえせ!!」

子2:「なんでよー!!」

静:「あぁーあ、もう願い事2つも使っちゃった。あと1個しか残ってないよ」

子2:「何に影響されたのよ、ねぇ? 『ドラゴンボール』でも見たの?」

静:「それが3つめの願いだな!

子2:「ちょっと! 全然、願いになってないじゃん!」

静:「結論がでました!」

子2:「なんのよ!?」

静:「あなたは”チャンスを生かすことができない人”です。確率で言うと100%! トレビの泉でお金だけ毟りとられるタイプだね」

子2:「えぇっ。本当に願いごとがかなうなら、ちゃんと考えるもん」

静:「あのね、”チャンスの神”ってのは前髪しかないっていうでしょ。だから、チャンスの神が来たら、すぐに掴めって。後ろからだと掴むところがないから」

子2:「いいよ。追いかけてとっちめるから!

静:「なんでとっちめんだよ! 神様は悪いことしてないだろ? 見逃してやれって」

子2:「それがひとつめの願いだな?」

静:「…やだー!」

もし、”チャンスの神”がとっちめられるところを助けてあげたなら、浦島太郎のカメみたいに恩返しをしてくれるのだろうか? もっとも子分2号にとっちめられるような神様なら、あまり期待できそうもないか。

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