マイブーム:村田和人の夏の歌

マイブームの時期
第一期:1986~1987年
第二期:1994年
・第三期:2022年7月~8月

2022年の夏は、村田和人をずっと聴いていた夏だった。

村田和人は、オレにとっては気になる存在ではあったものの、ずっと2軍のミュージシャンという位置づけだった。

アルバムは『Showdown』(1986年)、『Boy’s Life』(1987年)、『HELLO AGAIN』(1993年)、『Evergreen』(1994年)なんかは買ってたんだよ。

声はイイし、曲も好きなタイプがあるんだけど、とにかく歌詞がイヤだったんだよね。

殆どの歌詞はプロの作詞家が書いていて、『一本の音楽』や『Boy’s Life』なんかはまだ好きだったけど、たいていは田舎者が頭だけで考えたような風景を、センスのない言葉で表現した歌詞でさ。オレはそれが耳障りで彼の歌がずっと好きになれなかった。

一番好きな楽曲はオーリアンズのカバー『Dance With Me』だったし。

そんなオレが2022年になって、なんとなくAmazonPrimeMusicで村田和人を聴いた。

活動再開後の夏の三部作『ずーーっと夏。』(2009)、『ずーーっとずっと、夏。』(2010年)、『ずーーっとずっと、ずっと夏。』(2012年)は、アルバムタイトルが魅力的だった。だけど正直なところ、過去のアルバム同様にアルバム全体としてはピンと来なかったな。

でも、『ずーーっとずっと、ずっと夏。』に収録されている「Here Come The Thunder」という歌はとても気に入った。これは声+曲+詩が綺麗にまとまった素晴らしい”夏”の歌だ。

で、オレは配信で殆どのアルバムを聴くことができたから、自分でCD1枚分の楽曲を集めてベストアルバムを作ったわけ。何度も曲が入れ替わったんだけど、オレ好みの夏の1枚ができた。

やっぱり気に入った歌を集めて聴いていると、どんどん好きになっていくんだよね。

そして村田和人の最後のアルバム『P-can』(2014年)が、配信にもなく、一般の流通にものっていないことを知った。ライブ会場や通販でのみ取り扱っていたらしい。これは気になる。

でもってオレは、武蔵小山のペットサウンズレコードで、このCDを取り扱っていることを知った。この店はビーチボーイズのイベントで何度か足を運んだことがあるから、オレは早速、通販でオーダーしたわけさ。。

ここ何年かは配信で音楽を聴いてたから、CDを買うなんて久しぶりだけど、このアルバムはトータルなデザインも含めて、村田和人の最も良いアルバムだと思う。

ギターで加わった山本圭右以外はすべて自身の演奏で、60歳にしてやりたい音楽を自由に活き活きとやっていることが伝わってくる。ちなみに、海外を思わせるジャケットの撮影場所は浦安の海岸らしい。

ホント、この時期のライブに足を運んでおけばよかったな。YouTubeで観る当時の映像では、村田和人がニコニコと楽しそうにソロライブをやっている。

ペットサウンズレコードは、このアルバムや過去アルバムに関する店独自のリーフレットや、オリジナルのタオルを同梱してくれていて、昭和の時代の善きレコード店そのままのサービスだったことも嬉しい。

このリーフレットには、彼が自主制作盤として制作した『Now Recording』が、メジャーレーベルから発売されることになったときに、ファンに向けて出したコメントが記載されている。

そのなかに、音楽への姿勢についての一節があって、この人はホントに音楽によるふれあいが好きなんだなと思った。

自分の作る音楽やライブで利益を追求しようとは思いません。
村田の音楽が好きで、ライブを見に来てくれる人がいてくれれば
どんな形であっても、作品を発表し、ライブを続けようと思っています。その人たちがいてこそ、村田が音楽をする意味があります。

んなわけで「P-CAN」に収録されていた曲を含めて、オレの村田和人ベストアルバムを組みなおした。

でもって、2022年の夏はこの自分セレクトを飽きずに聴いている。CD一枚分を飛ばさずに何度も聴けるってのは、そうはないね。

こんなに自作のベストアルバムを聴きまくったのは、1980年代後半のビーチボーイズのバラッド集以来だ。ホントに飽きないんだよね。

で、2009年のアルバム『ずーーっと夏。』からセレクトした「少年サイダー」のせいで、この夏はオレのサイダー消費量が増加している。

■オレの村田和人セレクション1
01「Here Come The Thunder」…『ずーーっとずっと、ずっと夏。』
02「ピーカンBoys & Girls」…『P-can』
03「 R-134 波浪警報」…『夏!夏!夏! BEST ALBUM』
04「夏が終わらないうちに」…『ずーーっとずっと、夏。』
05「少年サイダー」…『ずーーっと、夏。』
06「どこ吹く風」…『ずーーっとずっと、ずっと夏。』
07「LAST HERO」…『ずーーっとずっと、夏。』
08「High School Band」…『ずーーっとずっと、夏。』
09「Beginner」…『Treasures in the BOX』
10「終わらない夏」…『また明日』
11「一本の音楽」…『ひとかけらの夏』
12「 電話しても」…『また明日』
13「ニコニコワイン」…『ひとかけらの夏』
14.「Summer Invitation」…『P-can』
15.「BRAND NEW DAY BRAND NEW SONG」…『P-can』
16「Dance With Me」…『一本の音楽 〜MOON YEARS』
17「LET’S BE FRIENDS」…『HELLO AGAIN』
18「Boy’s Life」…『Boy’s Life』
19「Sara !」…『太陽の季節』
20「Rainbow Maker]…『Treasures in the BOX』
21「Summer Vacation(ソロLIVE)」…YouTube

それから、彼が2008年にインディーズで「Now Recording」というアルバムをリリースした際のインタビュー記事を見つけた。村田和人の音楽に取り組むスタンスがよくわかる丁寧なインタビューだ。

2022年夏、村田和人はオレにとって、一軍のスターミュージシャンになった。

2008年 村田和人さんへのロングインタビュー。 そのPART1
2008年 村田和人さんへのロングインタビュー。 そのPART2
2008年 村田和人さんへのロングインタビュー。 そのPART3

さらに村田和人セレクションの第2弾も作った。最初の2曲は、セレクション1と同い曲で同じバージョンだけど。

それにしても気に入った曲のセクションが、2枚分のCDになるアーティストなんてそうはいない。しかも、それらの曲の殆どが、2008年からの再活動後の歌だもの。54歳からの作品。やっぱり村田和人はスゴイよ。

オレの村田和人セレクション2
01.「Life is Fun」…『ずーーっとずっと、夏。』
02.「JUMP INTO THE SUMMER」…『ずーーっと、夏。』
03.「君たちのくれた夏」…『Treasures in the BOX』
04.「最後の夏休み」…『Treasures in the BOX』
05.「R-134 波浪警報」…『ずーーっとずっと、夏。』
06.「絵日記の夏」…『ever green』
07.「Summer Vacation」…『MY CREW』
08.「さよなら逗子マリーナ」…『P-can』
09.「ウミガメの背中」…『P-can』
10.「一本の音楽 (2012 Version)」…『ずーーっと、夏。』
11.「終らない夏 (2012 Version)」…『ずーーっと、夏。』
12.「電話しても (2012 Version)」…『ずーーっと、夏。』
13.「君と子供と古い友達」…『P-can』
14.「昭和の夏」…『ド・ピーカン』
15.「一本の煙草 (Instrumental) 」…『ひとかけらの夏 (+5)』
16.「Boy’s Life (Instrumental)」…『Boy’s Life (+7)』
17.「SUMMER VACATION (Instrumental) 」…『MY CREW (+9)』

村田和人が全曲作曲、プロデュースした田中友紀子の1993年7月のミニアルバム『君たちのくれた夏』をネットで聴いた。

1.「君たちのくれた夏」
2.「夏の嵐」
3.「Rainbow Maker」
4.「最後の夏休み」
5.「あなたの知らない海で」
6.「スコールが来るわ」
7.「Summer Vacation」

で、このアルバムに収録された3曲(①③④)は、村田和人の2013年のセルフカバーアルバム『Treasures in the BOX』に収録されている。

それぞれを聞き比べてみると、圧倒的に村田和人バージョンの方がいい。

やっぱりね、このメロディラインをちゃんと歌えるのは、そこらへんの歌手じゃ難しいんだなと思ったな。

村田和人が逝去した後、彼が制作中だったアルバムをバンド仲間たちが完成させて、2018年に『ド・ピーカン』というタイトルで発売してる。

でも、村田和人が全曲を作曲しているにも関わらず、ボーカルは他の人たちだから、全然よくないんだよね。曲の良さが伝わってこない。

(Nothing’s gonna change) Lovely Days」なんて、村田和人節が全開で、彼が歌っていたら名曲になったのに残念で仕方ががない。

ちなみに村田和人は、田中友紀子の同年12月のセカンドアルバム『1/2ダースの想い出』でも、全曲作曲、プロデュースを手掛けている。

前作は夏をテーマだったけれど、こちらは冬をテーマにしたミニアルバムだ。

1.「想い出がはじまる日」
2.「真夜中のホブソンズ」
3.「うつむいた夜」
4.「優しい時間の中で」
5.「Best of my friend」
6.「届かないX’mas」

村田和人が作曲した「Summer Vacation」は、ちょっと面白い。最初は、1983年に川島なお美に提供したもので、女性の一人称の歌詞がついている。

その翌年には歌詞をデュエット用に変更して、竹内まりやと村田和人とのデュエットでアルバム「MY CREW」に収録された。その後も村田和人がプロデュースした田中友紀子のミニアルバムに収録されているから、かなり気に入っていたのだろう。

Summer Vacation(作詞:安藤芳彦、作曲:村田和人)
1983年 川島なお美「シャワーの後で」収録
1984年 竹内まりや & 村田和人「MY CREW」収録 ※歌詞変更
1984年 竹内まりや & 山下達郎 未発売音源(「サンデー・ソング・ブック」)
1993年 田中友紀子 「君たちのくれた夏」収録

だけど、オレが一番好きなのは、ライブで村田和人がソロで歌うバージョンだ。

■村田和人アルバム
1982/06/21『また明日』(ALFA MOON Records)28
1983/06/25『ひとかけらの夏』(ALFA MOON Records)29
1984/07/10『MY CREW』(ALFA MOON Records)30
1986/06/25『Showdown』(ALFA MOON Records)32
1987/06/25『Boy’s Life』(ALFA MOON Records)33
1988/10/05『GO POP』(東芝EMI)34
1989/06/14『太陽の季節』(東芝EMI)35
1990/07/25『空を泳ぐ日』(東芝EMI)36
1993/03/24『HELLO AGAIN』(Victor)39
1994/06/22『evergreen』(Victor)40
1995/09/21『sweet vibration』(Victor)41
2008/04/01『Now Recording』(KAZ COLLECTION)54
2009/07/15『ずーーっと夏。』(UNIVERSAL MUSIC)55
2010/09/15『ずーーっとずっと、夏。』(UNIVERSAL MUSIC)56
2012/05/23『ずーーっとずっと、ずっと夏。』(UNIVERSAL MUSIC)58
2013/06/26『Treasures in the BOX』(UNIVERSAL MUSIC)59
2013/07/24『夏!夏!夏!』(UNIVERSAL MUSIC)59
2014/07/25『P-CAN』(Island Moon Music)60
2018/07/02『De P-CAN』(UNIVERSAL MUSIC)

アルバムジャケットでは、『Boy’s Life』のデザインが好きだったな。

2022年の夏は村田和人の音楽と共にあった。そして夏の終わりに聴くのは、制作中の2016年2月に彼が亡くなって未完成だったアルバムを、バンド仲間が仕上げた「ドピーカン」(2018/7/2)。

このアルバムでは全曲を村田和人が作曲して、心惹かれるメロディラインが綴られている。

だけど新曲における村田和人のボーカルは1曲しかなくて、その歌も体調が悪いなかで無理をしたのか、いつもの声ではない。

他の曲は仲間たちがボーカルを分けあっているけれど、村田和人という稀有なボーカリストの代わりができるメンバーなんていない。

だからどんなにいいメロディーラインでも、ボーカルが曲を活かしきれていなくてストレスが溜まる。

しょうがないから、拙いボーカルをムリに脳内で村田和人に変換して聴くことになる。

それでも彼の作品が埋もれてしまうよりはいい。遺作となった前作「ピーカン」は素晴らしいアルバムだったのに、一般の流通に乗せなかったから殆ど知られていない。

そして、最後の作品集「ドピーカン」は、せっかく世に出たのに、村田和人のボーカルを殆ど聴くことができない。

■『ドピーカン
01 昭和の夏
(詞:田口俊/曲:村田和人/Vocal:村田和人)
02 (Nothing’s gonna change) Lovely Days
(詞:山田稔明/作曲:村田和人/Vocal:山田稔明)
03 Tシャツにアロハ
(詞:田口俊/曲:村田和人/Vocal:湯川トーベン)
04 南の島の結婚式
(詞:田口俊/曲:村田和人/Vocal:杉真理)
05 One and Only
(詞:安藤芳彦/曲:村田和人/Vocal:村田彼方)
06 定員10名
(詞:折原いつか/曲:村田和人/Vocal:山本圭右)
07 EVERYWHERE MAN
(詞:山田稔明/曲:村田和人/Vocal:山田稔明)
08 Smiling 思い出にはできない
(詞:安藤芳彦/曲:村田和人/Vocal:杉真理&根本要)
09 回航
(詞:安藤芳彦/曲:村田和人/Vocal:小板橋博司)
10 Birthday(Instrumental)
(曲:村田和人)
11 君という海(2014″ピーカン”Alternate Version)
(詞:安藤芳彦/曲:村田和人/編曲:村田和人/Vocal:村田和人)

村田和人のサイトでは、2015年9月29日に「ドピーカン」 に関する彼のメッセージが載せられていた。

さぁーニューアルバム「ドピーカン」の制作に入りますよーー!
2ヶ月で出来ればお正月にリリースできますけど。。。
延びたら春まで待ってください。
ぁ、責めないでー。老人をいたわりましょうー(笑)
でも、ライブは続きます!まずは富山~長野~東京です!
■あの80年代のベストサウンズ時代
村田バンドのドラムを担当していた米原くんのバンドに
スペシャルゲストで参加します!
ゲストとはいっても、全部歌うんですけど(^-^;(^-^;
富山で初のバンド形式ライブ♪楽しそーーー♪♪

https://youtu.be/MFc9D0xEy7k

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